新しいビジネスを考えるときや、既存のサービスを改善したいときに役立つアイデア発想法の一つが「SCAMPER法（スキャンパー法）」です。SCAMPER法は、既存のアイデアや製品に対してさまざまな視点から考えを広げることができ、革新的なアイデアを生み出すための強力なツールです。
この記事では、SCAMPER法の概要と各ステップについて解説し、ビジネスアイデアをどのように広げられるかを具体的に紹介します。
目次
1. SCAMPER法とは？
SCAMPER法は、7つの異なるアプローチでアイデアを広げるためのフレームワークです。1970年代にボブ・エベルによって提唱され、その後、クリエイティブ思考の方法として広く使われるようになりました。「SCAMPER」という言葉は、以下の7つの要素の頭文字を取ったものです。
- S：Substitute（代替する）
- C：Combine（組み合わせる）
- A：Adapt（適応させる）
- M：Modify（修正する）
- P：Put to another use（他の用途に使う）
- E：Eliminate（排除する）
- R：Reverse（逆転させる）
この7つの視点から既存のアイデアや製品を見直すことで、新しいアイデアを生み出すことが可能です。それでは、それぞれの要素について具体的に見ていきましょう。
2. SCAMPER法の7つのステップ
2.1 S：Substitute（代替する）
最初のステップは、何かを「代替する」ことです。プロダクトやサービスの一部を別のものに置き換えることで、新しいアイデアや視点を見つけることができます。
例：カフェで提供するドリンクを、通常のコーヒーからオーガニックやカフェインフリーのものに置き換えると、健康志向の顧客にアピールできるかもしれません。
2.2 C：Combine（組み合わせる）
次に、複数のアイデアや要素を「組み合わせる」ことを考えます。異なる製品やサービスを融合させることで、独自の新しい価値を提供することが可能です。
例：フィットネスジムとカフェを組み合わせた施設を作り、運動後に健康的なスムージーやプロテインドリンクを提供するサービスを考える。
2.3 A：Adapt（適応させる）
既存のアイデアや製品を「適応させる」ことで、新しい市場やターゲット層に向けて改良することができます。既存のものに少し手を加えるだけで、新しい価値が生まれることもあります。
例：都会の小規模オフィス向けに、コンパクトで使いやすいデスクを既存のデザインから改良して提供する。
2.4 M：Modify（修正する）
「修正する」とは、製品やサービスのサイズ、色、形、またはプロセスを変更することです。微妙な変更によって大きな違いを生み出すことができます。
例：スマートフォンのデザインを、ユーザーの要望に応じて大型化・軽量化することで、使いやすさを向上させる。
2.5 P：Put to another use（他の用途に使う）
現在のプロダクトやサービスを、全く異なる「他の用途に使う」ことで、新たな市場やビジネスチャンスを見つけることができます。既存の資源や技術を再利用することも効果的です。
例：もともと工場用だったロボットアームを、飲食店のキッチンで食材をカットするために活用する。
2.6 E：Eliminate（排除する）
「排除する」とは、製品やサービスから不必要な要素を削り取ることです。複雑なものをシンプルにすることで、コスト削減やユーザー体験の向上が期待できます。
例：スマートフォンの付属アプリを減らし、必要最低限の機能に集中することで、操作をシンプルにする。
2.7 R：Reverse（逆転させる）
最後のステップは、アイデアやプロセスを「逆転させる」ことです。順序や視点を反転させることで、新たな発見や斬新なアイデアが生まれることがあります。
例：従来の「商品を作ってから売る」というプロセスを逆転させ、顧客に事前注文を募り、その需要に基づいて商品を作るビジネスモデルに変更する。
3. SCAMPER法の活用例
SCAMPER法は、どの業界やビジネスにも適用できる柔軟なフレームワークです。例えば、既存の製品を改善する際や、新しいサービスを考える際に、各要素を順に当てはめていくことで、新しい視点からアイデアを広げることができます。
以下は、SCAMPER法を活用して考えられるビジネスアイデアの例です。
- 代替する：プラスチック製の容器を、環境に優しい紙製の容器に変更して販売する。
- 組み合わせる：ヨガスタジオにカフェを併設し、リラクゼーションと健康的な食事を提供する。
- 適応させる：都会の小スペースに適した家具を提供し、限られた空間を最大限に活用できるよう改良する。
- 修正する：既存の家電製品を小型化し、単身者向けに再設計する。
- 他の用途に使う：倉庫管理に使われていた自動化システムを、店舗内の在庫管理にも活用する。
- 排除する：機能が多すぎて使いにくいアプリから、基本的な機能だけを残して、操作性を向上させる。
- 逆転させる：顧客の要望を先に集め、それに基づいてカスタマイズ商品を作り販売する。
4. まとめ
SCAMPER法（スキャンパー法）は、既存のアイデアを新しい視点から見直し、クリエイティブなビジネスアイデアを生み出すための強力なフレームワークです。特に、新しいビジネスを考える際や、既存の製品やサービスに新たな価値を追加したい場合に非常に有効です。
各ステップを順に活用し、自分のビジネスやアイデアに当てはめて考えることで、革新的なアイデアが自然と浮かんでくるでしょう。SCAMPER法を使って、ぜひビジネスアイデアを広げ、新たな成功への道を切り開いてください。
